九代目言聞録
9.悲しい!ウルトラ5つの誓い~でも最後にはどんでん返しがあった~
僕は気になってネットで「ウルトラ5つの誓い」を調べてみた。
我が家はいま「ウルトラマン大ブーム」である。まもなく3歳になる息子は毎週テレビで放映している「ウルトラマンメビウス」はもちろん、有名な動画共有サイトの「YouTube」で初代ウルトラマン、セブン、タロウ、レオなどかつて地球で活躍したウルトラ兄弟(レオは兄弟ではないが)が怪獣と戦っているシーンを興奮しながら観ている。(僕も懐かしのあまり興奮して観ている)
今さらだがインターネットというのはやっぱり凄い。僕が息子の年齢ぐらいにぽかんと口をあけながら観ていたあこがれのヒーローたちが30年の時を経てもこうして好きな時間にいつでもパソコンで観れるのだ。また動画だけでなく当時の知りたかった(または知りたくなかった)撮影の裏話なども多く書かれていてこれもなかなか興味深い。特にゼットンに負けてしまった初代ウルトラマンの最終回の設定には驚くべき事実があり、それを知った僕は負けたことよりもショックが大きくなってしまった。
さてこのウルトラシリーズの中で特にドラマ性を重視していたご存知「帰ってきたウルトラマン」というのがある。題名とは違い初代ウルトラマンの復活版ではなく帰ってきたウルトラマンは変身する郷隊員とともに成長し徐々に強くなっていく人間くさいヒーローだった。そして最終回には初代ウルトラマン同様に最強の宇宙怪獣ゼットンが登場するのだが(このゼットンが予算の関係でしょぼい)ラストシーンでは郷隊員の恋人とその弟が他の隊員たちと死んだ郷の墓の前に泣きくずれているのだが、隊員たちが去った後、2人の前に遠くから死んだはずの郷が手を振りながら走ってくる。そして「僕は星へ帰るんだ」といって、恋人の弟に「ウルトラの5つの誓いを覚えているか?」と語りかける。
別れを嫌がる少年は答えるのを無視するが、郷隊員はそのまま少し離れた海の岸辺にいきで両手を挙げてウルトラマンに変身して帰っていく。少年は泣きながら飛び経ったウルトラマンに大声で5つの誓いをいうのだが・・・
1.はらぺこのまま学校へ行かぬこと
2.道を歩くときは車に気を付けること
3.晴れた日はふとんを干すこと
4.ひとを頼りにせぬこと
5.土の上で裸足で遊ぶこと
これは僕みたいに勉強もせずぼけっとしながら観ていた子供たちに向けたメッセージの意味もあるのだろうが、この中に3つめの「晴れた日はふとんを干すこと」というのがある。このころにはふとんを干す習慣が当たり前のようにあったし家庭では綿のふとんが主役だったはずだ。(1970年代)僕は気になってネットで「ウルトラ5つの誓い」を調べてみた。
ふとんの日干しが復活の兆し!?
すると・・・・この数十年後の1998年頃に放映されたにウルトラマンダイナに出てくるスーパーGUTSという地球警備隊では「隊員5つの心得」というものが出てくる。そこにはウルトラ5つの誓いをアレンジしたものが表記されていたのだが・・
1.晴れた日は空を見上げること
2.友達を大切にすること
3.おこづかいを落としても泣かないこと
4.道を歩くときは車に気を付けること
5.最後まであきらめないこと
うーん似ているようだが微妙に違う。ふとん屋の僕がまっさきに気がついたのは・・・ふとんを干すことが消えているのだ!その代わりといったら変だが、「晴れた日には空を見上げよ」となっている。う~ん、子供たちはふとんを干す必要のない繊維で寝ていて、さらに学校や塾に追われる毎日で空を見る余裕さえなくなったのでこのような表現にしたのか・・これはやはり羽毛ふとんの普及が考えられる。いやそう考えるのは決しておかしくない。なぜなら子供向けのふとんでもここ数十年は羽毛や羊毛ふとんが主役であり、確かにこれらのふとんは頻繁に干すこともないし、干すとしても日陰干しをすすめているのでまぶしい空を見ることがなくなった・・・という思いがあるのではないだろうか。絶対そうだと考える。
実にこれは悲しい。それだけ綿のふとんの需要が減ったということだ。僕はかなり落ち込んでしまった・・・。最近綿ふとんが見直されてきているのだがまだまだ子供へのメッセージとしては伝えられないぐらい弱いのかと。
ところが・・!!去年夏ごろウルトラマンメビウスの中で「ウルトラ5つの誓い」があったとマニアの知人から聞いた!ネットで調べると確かにドラマ中に話していたようだ。そうか・・やはりふとんを干す習慣が見直されて今出しても古臭くないとテレビ側も判断したのだろう。くだらない!と思うかもしれないが、僕はこういう小さいところから、商売のヒントにもなるし励まされる。
いや綿ふとんを商売としている人が聞いたら「ふとんを干す!」のを堂々と復活させたことはうれしいと思う!太陽の下で干してくださいと堂々といっているのは綿ふとんだけなのだから・・・。シュワッ!
次回は「皿と声」について書きます。
※このコラムは2006年10月に執筆されたものです