九代目のひとりごと

16.この一年は最初から最後まで「人」に支えられた。 おたふくわたを来年さらに飛躍させていくことが最大の恩返しである。

会社で11月のカレンダーをめくると1枚しかない事に驚いた。あっという間に1年が過ぎた。 昨年の今頃は「サライ」(小学館)という雑誌に初めておたふくわたが紹介されて電話がジャンジャン鳴り響いていた頃だ。あの掲載が全てのはじまりだった。あの後に立て続けに雑誌に紹介されてふとんが驚くように売れてきたのだ。勢いに乗ったとはこういうことを言うのだろう。今では継続してふとんが売れるようになったからやはり雑誌の力は強かったのだろう。

ふとんと関係ないが今年早々、我が家に息子が誕生したことも私のやる気を更に起こさせた。これは私にとっては今年1番のニュースと言える。

家族だけでなく多くの寝具関係者、マスコミ、購入していただいたお客様皆に励まされた。そういう意味では最初から最後まで「人」に支えられた1年だった。周りの支えがなければおたふくわたはここまで絶対に成功していなかった。

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マスコミの方々も本当によくしてくれた。広告費なども一切払わず、無償で掲載してくれた。記者の人たちが「復活頑張ってよ!」という良心的な気持ちで載せてくれたのだ。こんな嬉しい事はない。マスコミは冷たいという人が結構いるが、少なくとも私を担当してくれた記者はみんな温かい人だった。それはやはり「縁」だったというしかない。今では掲載してくれた記者の方々とプライベートでも仲良くさせていただいている。
ふとんを作ってくれた職人をはじめ、製綿工場の社長さん、商社の営業マン、縫製工場の社長や配送業者のドライバー、副資材の営業マン、みんな一生懸命協力してくれた。細かい指示も出したが良く応えてくれた。また当社のふとんが入っているヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテルの従業員の人たちも驚くぐらい丁寧にメンテナンスをしてくれている。600 室も部屋があるのにおたふくわたのふとんが入っている1室に相当の時間をかけてケアをしてくれている。だからこちらも定期的に部屋の様子を見にいく事にしている。そのためか宿泊客から一切クレームがない。

そして・・特に感謝しなければいけないのが購入していただいたお客様だろう。数百人という沢山の方々がおたふくわたのふとんを購入してくれた。この人たちは百貨店もふとん専門店もあるのに、わざわざ弊社のショールームに来てくれたり、ホームページや電話番号を調べて、注文してくれたコアな人達だ。更に購入いただいたお客様からのリピート購入や友人・知人を紹介いただいたことも嬉しい出来事だった。私は数年後の打ち直しの時期でも当然寝具を続けているように努力しなければ罰が当たると思う。お客様達を絶対に裏切るわけにはいかないのだ。

そして電話や葉書、電子メールなどで「いいふとんです」と感謝の気持ちをわざわざ伝えてくる方の文面をみると目頭が熱くなってくる。そして「復活させて良かった」とこの時思う。

当然、木綿に否定的な人達もいた。木綿に対し間違えた意見や心ない言葉を言われたこともあった。しかしこれは復活させる前から予想していた事なのでこの1年で得た喜びにはかなわなかった。長所が多い木綿ふとんに自信を持っていたから私にはびくともしなかった。

さて来年は、更におたふくわたを広めていくつもりだ。実はこのコラムにはまだ発表できないが来春、おもしろいイベントを計画している。今、話がまとまりそうなところまで来ている。その他、新規販売ルートの開拓、インターネットのスタイル変更、また寝具業界が今までしていないようなイベントも計画している。来年は今年よりおもしろくなるはずだ。昔のように巨大な会社にする気はない。しかし小さくても寝具業界に旋風を巻き起こすような会社にしたい。

そして「おたふくわた」をもう少し広めていくことが先祖への恩返しでありふとんの復活を応援してくれている方々への恩返しでもあると思っている。 今年は関わった人全てに「感謝」なのだ。

最後に1年間「九代目のひとりごと」を読んでいただき有難うございました。 来年は今までのようなコラムのスタイルではなく若干変更する可能性もあります。 ぜひ楽しみにしてください。

九代目 原田浩太郎

※このコラムは2004年11月に執筆されたものです

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