九代目のひとりごと
29.復活劇よりも結果を問われる2006年 ~今年もおたふくわたは「独自路線」でいく~
突然だが、かつて小泉首相は「変人」呼ばれされていることについて「変な人ではなく変革の人という意味があるのでしょう」とサラリと答えた。おたふくわたも業界内外で「異端的」な目で見られているようだ。だがそれはわが社にとってはむしろ喜ばしいと考えたほうがいいかもしれない。個性的な会社だと認めてもらっているようなものだからだ。
さて、新年を迎えたと思ったら、あっと言う間に中旬になった。「時」が高速化していると言ってもいい。内外色々な出来事が日々起きて、すでにこの「今」が遠くへ過ぎ去ろうとしている。
おたふくわたも復活して今年の9月で4年目を迎えることになる。ということは、もはや我々の復活劇は過去の話になっている。復活の経緯を話して新聞、雑誌で取り上げてくれる時代はすでに終了している。今では「どこにも負けない綿ふとんに対する熱い思い」を話したほうが人々は興味を持ってくれる。
同時にそろそろ結果を問われてくる時期でもある。「復活?で今はどうなんだ」と 言うことになる。これで全く売れていなかったらお涙頂戴の話で終わりもはや綿ふとんの商売は趣味の世界に行くことになる。だが・・・現在予想に反し売上は 年々伸びている。確かにまだ他人に自慢出来る数字ではないがそれでも前年度対比で1.5倍近い数字は出している。今年も大きい勝負を仕掛けていこうと思 う。
まずは「新商品の発表」がある。復活してから今まで私が研究し続けていた事、それは「ふとん綿に合う究極のふとん生地」である。あたかも中綿自身が喜ぶような生地が国内にはまだまだあると信じあちこち時間が許す限り生地巡りをした。その中で素晴らしい生地に出会いそれでふとんを作ることにした。私の理想に近いふとんである。
だがここで立ち止まるのではない。私はさらに究極の生地を求めて歩き続けるはずだ。数年かけてまたそれらは見つかるかもしれないし、何十年かかるかもしれない。
今回の生地でふとんを作ることにより業界内外でもなかなかお目にかかれないすばらしい出来栄えのふとんが出来あがった。あえて他のメーカーがしないことを自ら進んで実現させたものである。2月の正式発売で読者も驚くはずだ。
さらに2月には創業祭として記念オペラコンサートを行う。ふとんとオペラ・・このつながりが面白い。だが、オペラも綿ふとんもどちらも伝統的なものであり、その伝統をさらに広めて人々により定着してもらいたいという考えは意外に距離が近い。
こうした異文化同士が組めば新たな裾野も広がる。いつまでも同じ村の中で普及活動や宣伝活動をしていても仕方がない。オペラファンが綿ふとんを知り、綿ふとん愛好家がオペラを好きになる。そういう広がり方も面白いと考える。
現在あちこちで宣伝をしているが今後も定期的にこのようなイベントは行っていきたい。
そしてホームページもフルモデルチェンジする。新商品発売と同時に全く新しいデザインになる。心機一転の決意である。さらに百貨店の催事、講演会、実演会など色々とスケジュールも決まってきた。これらも新しい試みで色々行っていくつもりだ。昨年の同時期では考えられないぐらいの忙しさだ。
確かに他のメーカーなどと違う方向へ歩き出しているかもしれない。だが他と同じ道を歩むことは進歩ではなくただの模倣の道を歩むだけだ。「綿のふとん・・・それは人々に一番優しい繊維」という理念があれば私達の動きはむしろ正しいと考える。
業界がしてきた販売や取引方法を変えて新しいやり方で商談を増やしていくはずだ、その結果が今年、来年にかけて出てくるはずだ。
今年のおたふくわたをぜひ期待してほしい。
※このコラムは2006年1月に執筆されたものです