おたふくわた復活プロジェクト

32.ついに完成!おたふくわたのオリジナル綿いよいよ販売に向けて動き出します

「武田社長、お願いします!」「分かりました。何とかしましょう。」
このコラムでも2回紹介しましたが、私のおたふくわたのオリジナル綿作りにずっと協力していただいている埼玉県のタケダふとんセンター「武田製綿」さん。
冒頭の会話は武田社長と前回訪問した別れ際に交わしたものです。私は超長綿で有名なある国の綿を使って掛けふとんを使う事がどうしてもあこがれでした。木綿ふとんの掛けふとんは通常アメリカやメキシコなどのいわゆる米綿(別名ヒルスツム スーピマは除く)が多く使用されています。米綿も綿の繊維が割りと細く軽くて肌ざわりがいいのですが、私はせっかく復活するのなら希少性がある綿がいいと思い、更に細くて心地いい綿はないのかと追求していました。国内に入ってくる多くの綿を見たり触ったりして顕微鏡で繊維の長短を調べました。とにかく消費者の「木綿ふとんは重い!」というイメージを変えていこうというのが私のテーマでしたから繊維が細く、しかもふとんにふさわしいものを探すのは容易ではありませんでした。そして1年近く研究した結果、私はふさわしい綿をようやく見つけました。ただ木綿ふとんとしては通常使うことがない国のものなので普通の製綿所では中綿として作りにくいのです。それは繊維が細すぎて機械のローラー部分にくっついてしまうからです。前回書いた時から武田社長は当社の元社員で現在は綿の商社にいらっしゃる方と二人三脚でこの綿の製品化を目指すべく機械の調整や研究を続けてくれました。
先日、綿の商社の方から電話があり「何とか出来そうだから一度工場に来て下さい」と言われました。私は不安と期待を持って工場に行きました。気のせいか私は武田社長と会った瞬間「何とかうまくやった」という満足感の顔に感じました。
そして私に玉綿を持ってきてくれました。「おお!」私は思わず声が出ました。前回の時はどこか不自然な形だった綿がきちんと野原さんが入れやすいような綿に仕上がっているではありませんか。それでも社長や綿の商社の人は「もう少しだね。綿の固まり(ネップ)がなくなればOKだ。」と言っていました。私は感動しました。他の有名メーカーなどの量に比べたら私のおたふくわた復活なんていうのは小さいロットなので量として武田社長のところでは一番少ない仕事だと思います。それでも武田社長は懸命に機械を調整したりして何とか私のわがままに応えようと日夜作業をしていてくれたのです。 画像を見ても分かりますが通常の高級米綿に比べてかさがあるのが一目瞭然です。
私は武田社長に深く頭を下げて感謝の気持ちを伝えました。
後日野原氏にこの綿を送って試作品作りをお願いしました。「うん、いいですねこの綿。繊維が細くて大変ですが頑張ってみます」と言ってくれました。
この試作品が出来たらいよいよ社内検討になります。そして側地の色柄を決めていよいよオリジナルのおたふくわたふとんが復活します。
最近木綿ふとんが世の中で見直されてきています。私たちの下着やシャツそしてタオルは今でも木綿がダントツで使われています。また皮膚アレルギーの方には木綿手袋などがいいといわれています。木綿は自然の恵みから出来たものなのでカラダに悪いはずがありません。木綿ふとんだけが「重い」「干すのが面倒」「冷たい」などのイメージのせいで居場所がどんどんなくなりました。しかし木綿ふとんはまた必ずイメージを変えれば戻ると思います。そうです木綿の「かさ」のように回復するはずです。

watakansei
左が市販されている高級クラスの米綿、右がおたふくわたオリジナルの綿です。
かさの高さに違いがあるのが分かります(重さはほぼ同じです)

次回はいよいよ「おたふくわた」の復活について書きます

九代目 原田浩太郎

※このコラムは2003年6月に執筆されたものです

ページトップへ