九代目のひとりごと

10.日本の今も昔も ~その1~わび?さび?茶会に魅了されてしまった・・・

日本の今も昔も ~その1~
わび?さび?茶会に魅了されてしまった・・・。1_0406_ocha

今回は「茶の湯」について書きたい。しかし茶道を習っている茶会によく参加する方にはあまりにも程度が低いので悪しからず・・。

まさか自分が茶会に出るとは思わなかった。私は幼少の頃からとにかく落ち着きがなく、何かするために座ってもすぐ立ち上がり違うことに興味を持ってしまう。いわゆる集中力に欠けるのだ。幸いサラリーマンの頃はあちこち飛び回る営業をやっていて楽しかったし自分に合っていたと思う。デスクワークの仕事をしていたらと想像すると恐ろしくなってくる。

その私が「茶会」である。
私の家系は茶道をしている人が多い。母もそうだし親戚も多い。祖母なんかはお稽古の先生までしていた。だから私もしたというわけではない。この30年間、母が作った茶を飲まされたことはあるが、それも1、2回だろう。

私は、木綿の研究をはじめておたふくわたを復活させてから日本の伝統について色々考えるようになった。繊維の歴史、綿の歴史、ふとんの歴史からはじまり、次第に昔の人々の暮らしぶりや、文化なども気になるようになってきた。そして最近は「昔から伝統として続いているもの」に興味を持つようになった。

きっかけは単純だった。とある美術館に「金の茶室」という展示があったのを見たのがはじまりだった。金色の茶室そのものにも感動したが、今までは気にしなかった茶室の説明が横に添えられていたので真剣に読んでみた。すると「茶室とは友人に相談事を話す時、または政治家や役人が密会や議論を行ったり、外国から来た使者などをもてなすために使われたりしていた」などと書いていた。私はその小さな茶室をしばらく見ていたのだが、道具、床(掛け物や花)、菓子、茶に全てこだわりやテーマがあり、わずか三口ほどで飲めるお茶一杯に対し、存分に客を楽しませる「茶の世界」に何となく興味を持ってしまった。展示を見た後、茶についてのハンドブックを買った。その本の中には「茶会の主人はその日のために床、道具組、菓子、茶を何が良いか懸命に考え、来客者はその思いに感動し菓子と茶をありがたく召し上がる。」と書いてあった。奥の深さを少し知った。

主人には「ちょうだいいたします」、隣の客には「お先にいただきます」と正座しながら頭を下げようやく一杯の茶にたどり着く。今の時代では「贅沢な飲み方」といえる。

しかしこの贅沢な感覚を少しでもいいから持ってみたい。仕事に対しても人生に対しても大げさかもしれないが何か別の発想なども出てくるのではないかと思い私は母に相談し、ある方の紹介で表千家の茶会に参加させてもらっている。

茶会に行くと門から入口にかけて、いつもきれいに水が撒かれており石畳が照明で反射している。玄関を開けると入り口には着物を着た方が座っていて、台帳に自分の名前を筆で書く。記入後に中に入るとまず床を拝見する。「床を見る」とは筆で書かれた掛け物や花を拝見する意味である。茶会の度に掛け物も花も違うので楽しい。そして席が静まるといよいよ茶会がはじめる。最初に菓子を頂くのだが、季節に合わせた見た目も味も見事な菓子である。食べ方にもマナーがあり、まず畳のへりの前に置き、次客との間に一回菓子の入った器を置いて「お先に失礼します」と言わなければならない。菓子が入っている蓋を開ける際も蓋の表裏を拝見する。菓子を頂いたあと箸を清めるという意味で紙の角できちんとふき取り横の方に渡す。菓子を食べるだけでもこんなにルールがあるのだ。しかしこのルールに慣れてくると普段と違い「ありがたく頂く」という気持ちになって、更においしく食べられるから不思議だ。茶には薄茶や濃茶があり、茶の道具もかなりの種類がある。茶のたてかたも簡単ではない。静粛な雰囲気の中、茶を作るときの音は心を和ませてくれるし、釜から聞こえてくる「しゅっしゅっ」という沸いた音がまた茶への期待感を高める。三口ほどで飲む茶だが、先ほど菓子を食べているので苦味はなくあったかくておいしいと感じる。最後は茶碗を全体に眺め、手に取り外見を見る、最後にまた全体を眺める。茶を楽しむとは演出を手伝った道具一つ一つを眺める事も茶をおいしく飲む中に入るのだ。

私はこういった時間の使い方は決して無駄とは思わない。むしろ物に対する見方が変わるし現代人には必要な時間かもしれない。 ふとんの出来具合を気にして見るようになったのも、早朝に起きて玄関周りの水を撒くこと(これは家内が驚いている)もこういう経験から影響してきたと思う。心を清め、冷静に物を見るとはこういうことかと我ながら驚いた。東京のど真ん中で仕事をしているとたまにこの静けさが欲しくなってくる。町を歩きながら、インターネットや雑誌などを読みながら考える時とは又違うヒントも出てくる。
掛け物の筆で書かれた言葉の意味を、そして茶道具、茶花の深い意味を理解できる日がいつか来ると願いながら毎回主人から学ぶ。そしてまた目が養われていく。

日本には色々な茶会があるようだ。流行のカフェに行くのもいいが、若い人が友人を誘って茶会に出るのも悪くない。
私も今度はおたふくわたを作っている職人を誘ってみようと思う。

九代目 原田浩太郎

※このコラムは2004年4月に執筆されたものです

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